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 ストレートでシンプルな、熱いハードコアなら、80年代初期から半ばにかけてのハードコアだろう。とはいえ、この時代には、世界各地のいたるところでハードコア・パンク・バンドが活動し、凌ぎを削っていたのである。ここでは、とりわけ今でいうオールド・スクール、ユース・クルー系ハードコア・バンドのルーツとなるべく、DCやボストン、ニューヨーク、東海岸全域のバンドに焦点を当てて紹介する。
 まず、SxE発祥の地として知られる、アメリカの首都、ワシントンDC及びその周辺地帯。の登場は、それまでの77' スタイルが主流だった、パンク・ロックに革命的な波及を及ぼした。SOA,UNTOUCHABLES、そしてTEEN IDLES(ex-THE SLINKEES)が登場し、それまでのパンク・ロックの精神性を覆すように、ストレート・エッジという概念を打ち立てた。TEEN IDLESは1枚の7"を残し、minothreatと、YOUTH BRIGADE(BYOを率いたLAのバンドとは別)というバンドに分裂。UNTOUCHABLESは、イアン・マッケイ(minothreat)の実弟、アレック・マッケイが率いたバンドで、のちにFAITHを結成。元祖カオティック・コア(?)VOIDとのスプリットを82年発表している。SOA(STATE OF ALERT)は、ヘンリー・ロリンズことヘンリー・ガーフィールドが率いたバンドで、彼はのちにグレッグ・ジンのに参加している。ほかにも、GOVERNMENT ISSUE、ARTIFICIAL PEACE、DEAD LINE(ドラマーはONE LAST WISH,RITES OF SPRINGを経てFUGAZIへ)、SECOND WIND(ex-minothreat)といったバンドが活動し、harD.C.oreというブランド・ネームを決定づけたのである。
 後期minothreatにもその萌芽はあったが、ハードコアの暴力性に嫌気がさしたイアン・マッケイは新たな方向性を模索していた。EGG HUNTを経て、EMBRACEを結成。スラッシュ的な方向性から、より幅広い音楽性を取り込んでいった。DCに変化が訪れていた…いわゆる"REVOLUTION SUMMER"である。おおまかにいって、この時期、二種類の流れがあったと思う。minothreatが、初期からWIREのカヴァーをこなしていたように、イギリスのポスト・パンク/オルタナティヴ・ミュージックへ傾倒していく流れと、ヴァージニア州のSCREAMやSOULSIDEのようなソウル・ミュージックやファンク、レゲエなどに傾倒していく流れ。GOVERNMENT ISSUEや、FAITH、(ex-minothreat,DYS)といった、harD.Core創世記のバンドらも、前者の流れに位置するといっていいだろう。
 しかし、それらの流れと相容れずに、WHITE CROSS、BEEF PEOPLE,LANDLORDSといったバンドらが、ハードコアの火消えずとばかりに、熱いスラッシュ・サウンドを聴かせていたし、UNITED MUTATIONのような、突然変異的な変わりダネも存在していたのである。
 DCでのストレート・エッジは、ボストンにも波及し、やDYS、IMPACT UNIT、そしてらの登場を促した。DYSのシンガーであった、デイヴ・スマリーはのちにに参加。ALLの初代シンガーを経て、現在はDOWN BY LAWというバンドを率いてメロコア・シーンで活動している。IMPACT UNITのシンガーは、スカコアのGANG GREENのメンバーらとMIGHTY MIGHTY BOSSTONESで活動。のCHOKEは、LAST RIGHTSを経て、国粋バンド、SLAPSHOTへ。それらSxEのシーンとは別次元で、GANG GREEN,FU'S,JERRY'S KIDS,OUTPATIENTS,DEEP WOUND(のちにDINOSOUR Jr,SEBADOH),SIEGEといったバンドも活動し、ボストン・シーンを支えていた。
 それ以前のニューヨーク・パンクとはまったく無縁な世代へと移行していたものの、70年代末から活動していたという、THE WORSTのようなバンドを除けば、ニューヨークにハードコアが波及したのは少し遅まきではあったかもしれない。79年にがワシントンDCからニューヨークへと移住していたが、当時はまだ、ハードコアへ至る過渡期的なパンク・ロックが主流であった。CRO-MAGSのハーレイ・フラナガンがいた、STIMULATORS、映像アーティストの、スクリーミング・マッド・ジョージが率いたTHE MAD(これまたCRO-MAGSのパリスが在籍していた)、ニュージャージーの、またもやCRO-MAGSのダグ・ホランドが在籍していたKRAUTなどはよく知られたところだろう。
 82年ごろになり、URBAN WASTE,THE MOB、CRO-MAGS,ABUSED,ULTRA VIOLENCE、SAVAGE CIRCLE,HEART ATTACK,ANTI DOTE,CAUSE FOR ALARM,MURPHY'S LAW,ARMED CITIZENS,そして真打ち、AGNOSTIC FRONTが登場。彼らがニューヨークのハードコアを決定づけたといってもいいのだが、この頃の彼らは、日本のハードコアにも通じる、よりスラッシーでレイジングなプリミティヴ・ハードコアを聴かせていた。そして、意外に思うかもしれないが、この頃ニューヨークには殆どストレート・エッジ・バンドが存在していなかった。唯一ABUSEDだけが、"DRUG FREE YOUTH"という曲で反麻薬を訴えていたのみで、そもそも、ギャングが闊歩する犯罪都市、ニューヨークで、ストレート・エッジを標榜することは無謀にも近いことであったのし、日々犯罪に手を染め、どうにか生活の糧を得ていたギャングやスキンヘッズたちにしてみれば、ストレート・エッジなど、青臭い書生談義めいたものとしてとらえられていたのだろう。あのすら、CBGB'Sの支配人に、「君たちみたいなバンド」が成功できるはずがない、と断言され、この地でストレート・エッジが本格化するのは、80年代中期にWARZONE(SxEバンドではなかったが、レイビーズがクリーンになり、バックを固めるメンツを全員SxEで固めた時期があった)やSTRAIGHT AHEADが出揃ってからのことになる。
 また、ニューヨーク郊外の、ニュージャージーやコネティカット、ニュー・イングランド周辺、フィラデルフィアに目を向けるよう。
 まずは、コネティカットには、YOUTH KORPSという奇跡的なバンドがいた。SIEGEより遡ること2年、速く鬼のようなスピード・コア・サウンドを聴かせるSxEバンドであった。同系統で、同じくコネティカットにはIMPACT UNIT,ニューヨーク州にはCATATONICSというバンドも、激しいスピード・コアを聴かせていた。
 しかし、一般的にいって、コネティカット・ハードコアとしてよく知られるのは、C.I.A,REFLEX FROM PAIN(いずれも後に76%UNCERTAINへ),VATICAN COMMANDOS,VIOLENT CHILDREN(のちに)あたりのスケート・コア勢だろう。それから、コレクターに人気のGOD'S WILLもコネティカットの出身である。
 ニュー・ジャージーには、THE WORSTのリリースで知られる、MUTHAというレーベルがあり、BURNT,CHILD ABUSE、FATAL RAGE、Public Disturbance、Rosemary's Babiesら。そして、83年ごろから中期、後期にかけて、ADORENALIN O.D,BEDLAMといった、BUY OUR Recs周辺のスケート・ハードコア・バンド、GRAVEN IMAGE、かの97aにも影響を与えたという、クロス・オーヴァー的なTMAなども活動していた。また、のちにとなるLIFE'S BLOODも外せないバンドである。屈折した陰鬱なハードコアを聴かせていたに対して、彼らは日本のハードコアを彷彿させる、タフでブッちぎれたハードコアを聴かせていた。
 ペンシルヴァニアには、かの発狂ヘヴィ・ハードコア、YDI。彼らはVOIDばりの破綻したテクスチャーを、ばりのタフで怒り狂った演奏で聴かせていた。一方で、McRADのような、イリノイのLIFE SENTENCEや、カリフォルニアのPIG CHILDRENを髣髴させる、軽快でポップなスケート・コア・バンドもいたし、FLAG OF DEMOCRACYのような、ジョーク・バンドも活動していたのである。
 カリフォルニアといえば、パンク寄りのバンドが目立つが、80年代半ばごろから、パンク世代のバンドと入れ替わるようにして、UNITY,UNIFORM CHOICE,HALF OFF,PILLSBURY HARD CORE(のちにPISSED HAPPY CHILDREN),ILL REPUTE,SCARED STARIGHT,STALAG13など、SxE系のバンドも登場、それが80年代後期になり、INSIDE OUTやNO FOR AN ANSWER、CHAIN OF STRENGTHらが登場する土台となっている。
 もちろん非SxE系のバンドも活動していたので、以降はこちらを参照されたい。



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