Ripcordは、1984年に、バズことスティーヴ・バラム、ジョン・ミラーを中心に結成される。オリジナル・ラインアップは、バズ(Ba),ジョン(dr),マルコム(gu),ジミー(vo)、このパーソネルでファースト・デモをレコーディングする。しかし、この体制も長続きせず、二本目のデモでは、バズがギターも兼任し、ジミーまでもが脱退してしまう。
　1986年には,スティーヴ・ハザードと(ba)、バズビーことブライアン・バーチェル(Vo)が加入。サード・デモ、初の正式音源、The Damage is Done Flexi(ソノシート)を、自身のRaging Recsよりリリース、Manic Earsの配給で、四本目のデモ、"Fast and Furious"を発表。しかし、プロモーターとの関係がうまくいかず、ツアーは燦燦たる結果に終わったという。
　87年にはいると、 BGK, Heresy, そしてStupidsらとともに.ヨーロッパ・ツアーを敢行。こちらは、いずれも当時破竹の勢いを誇るバンドばかりで、大成功を収めたようだ。プレス・ミスなどのトラブルを経て,難産を極めた新作の発表だが、翌年にMANIC YEARSよりDefiance of Power LPというタイトルで発表。高い評価を受ける。バズビー自身のペンによる、同LPのアート・ワークは、バンドのマスコットとしても定着したのもこの頃だ。内容はというと、バズビーとジョンが大半の歌詞を手掛け、バズビーによる、動物の権利をテーマとした作品と、ジョンによる、反戦をテーマとした作品、そしてそれらの隙間を埋めるように、スケート・ボードをテーマにした曲も同居していたり、徹底して反麻薬を訴えていたりと、硬軟とりあわせた姿勢を打ち出していた。反麻薬云々に関しては、自堕落を是として、本来敵対すべき対象に飲み込まれていった、UKパンクの先駆者たちへの批判、そしてアメリカのハードコア・シーンへの憧憬のようなものもあったかもしれない。
　順風満帆ともおもえたRIPCORDであったが、バズがショウの最中にスキン・ヘッズに襲撃され負傷する。さいわい、大事にはいたらず、彼の回復を待ち、Napalm Deathとのツアーを敢行するも. スティーヴが脱退。Napalm Deathのジムが穴を埋める。続くHeresy とのツアーを前に、バズビーがバズとのトラブルでレコーディング中に脱退。"Harvest Hardcore" 7" は、前任ベーシスト、スティーヴをシンガーとして迎え、制作される。
　結果的には、バンドのより一層のアメリカン・スラッシュ志向を反映するかのごとく、Siegeとのカヴァーも収録された(USプレッシングのみ)。88年には、かのジョン・ピール・セッション(国営放送BBCが主宰する、パンク/アルターナティヴ・ミュージック専門番組。バンドのスタジオ・ライヴを放送。ここからいくつものUKハードコアの名盤が生まれたほか、珍しいところでは、日本のSOBやドイツのアヴァンギャルド・ロック・バンド、CANも参加している)に参加、ドイツの名門ライヴ・アルバム専門レーベル、"Your Choice Live"シリーズを発表。
つづいて、よりアメリカン・スラッシュ志向をつきつめた、"Poetic Justice - LP"をオランダにてレコーディング。これが遺作となる。スティーヴは、アメリカ人女性との婚約を機に渡米を決意。バズはすでに、Heresyの正式メンバーであった。フェアウェル・ショウはウエストンで敢行された。
　解散後のメンバーの動向であるが、ジョンとバズはCAN'T DECIDEに参加。RIPCORD後期のUS志向をさらに押し進めた形での、メロディック・ハードコアを披露。スティーヴは、婦人と死別。イギリスに帰り、ジョンとともに Spiteというバンドで活動する。
　近年になり、バズ、ジョン、ジムが結集。Dumbstruckというバンドで、中期〜後期のRipcordの路線を想わせる、レイジング・スピード・コアを聴かせている。